印傳屋 / INDEN-YA

一子相伝で受け継がれてきた家伝の秘法

漆付け

鹿革に漆で模様を彩る独自の様式

印伝といえば “鹿革に漆” といわれるように、 「漆付け」は最も代表的な技法です。 染め上げた鹿革に手彫りの型紙を置き、 そこに漆を刷り込むことで 模様を浮かび上がらせます。 鹿革と漆の特性を巧みに融合させ、 さまざまな伝統の模様で彩るこの技法こそ、 印伝の魅力を育んできた家伝の技です。

ふす

古より守り伝えられる家伝の秘法

「日本人は藁の煙だけを用いて巧みに着色する」。 信長に謁見したことでも知られる 宣教師ルイス・フロイスが、著書で驚嘆を記した燻べ技法。 鹿革をタイコ(筒)に貼り、藁を焚いていぶした後、 松脂でいぶして自然な色に仕上げる古来の技です。 印伝のルーツともいわれ、印傳屋の遠祖・上原勇七より 代々家長の勇七のみに伝えられてきた技法のひとつ。 熟練の職人だけが駆使できる日本唯一の技を 今も守り続けています。

更紗

名の由来は印度伝来の更紗模様から

一色ごとに型紙を変えて、 色を重ねていくことで、 鮮やかな色彩の調和を生みだす更紗技法。 均等に色をのせるには、熟練の職人による 高度な技術と手間を要します。 更紗技法は主に漆付け前の 下地に模様をつける工程に使われます。

伝統により育まれ、新たな伝統をつくる

印伝はすべて職人による手づくり。 “漆付け三年” といわれるように どの工程をとっても高度な技と 研ぎ澄まされた勘を要します。 印傳屋の熟練の職人たちは 四百年の伝統の技を継承しながら、 時代を見据え、常に新しい印伝づくりに 挑み続けています。

経済産業大臣指定伝統的工芸品
「甲州印伝 革装飾部門」伝統工芸士

大森 幹雄

「少しでも良いものをつくる気持ちで取組む。印伝はその一つひとつの手仕事の集積なのです」

経済産業大臣指定伝統的工芸品
「甲州印伝 革装飾部門」伝統工芸士

戸澤 武士

「受け継ぎ、繰り返すだけでは伝統は進みません。新しいことに挑み、試行錯誤を重ねていくことです」

経済産業大臣指定伝統的工芸品
「甲州印伝 革装飾部門」伝統工芸士

神宮寺 秀哉

「燻べは日本に残る希少な技。先人が培った伝統を受け継ぎ、多くの方に知っていただきたい」

経済産業大臣指定伝統的工芸品
「甲州印伝 革加工部門」伝統工芸士

伊藤 雅喜

「信じていただける品であり続けるために。いまの技に満足せず、常に上を目指し続けています」