自然を尊び、つくる。

自然を感じ、 想いを巡らす感性、 「センス・オブ・ワンダー」は 洋の東西を問わず、また、いつの時代も 自然に寄り添い暮らしてきた人間が 生まれながらにして 持ちあわせているものです。 四季のあるこの国の人々は 古より自然の力や美しさを敏感に感じとり、 畏愛のこころや願いを込めて さまざまな自然の模様を 工芸に取り入れてきました。

江戸時代、 印傳屋の遠祖上原勇七が 鹿革に漆で模様づけをする 独自の技法を考案。 小桜、青海波、蜻蛉など、 人々に親しまれてきた伝統の模様を 描いた甲州印伝は、 洒落者の粋な持ち物として 愛好されたようです。 創業から四百年以上にわたって 受け継いできた伝統の技と 日本人の自然への想いを、 印傳屋はずっとたいせつにしていきます。

印傳屋 十三代 上原勇七

青海波 せいがいは

大海原を意味し、 無限の広がりを表す。 幸福を呼び起こす吉祥模様として好まれ、 江戸元禄の頃に流行したという。

小桜 こざくら

平安の頃より、 花といえば桜を意味した。 散りゆくさまは、 武士道の“もののあはれ” に通じ、 戦国武将の戦装束を煌びやかに飾った。

高嶺 たかね

人々が愛着や畏敬の念を抱く富士山。 日により、季節により、 豊かな表情を見せる姿を 甲州印伝では鹿革と漆の色の 取りあわせで表現した。

蜻蛉 とんぼ

古くは「あきつ」と呼ばれ、 日本の古称「あきつしま」に通ず。 前にしか進まないところから 武士のあいだでは 「勝虫」と呼ばれ、 武具や装束に多用された。

Close