印傳屋 / INDEN-YA

進化を続ける印傳屋海外シリーズ「INDEN EST. 1582 F/Wコレクション2018」(前編)

甲州から世界へ

印傳屋は、2011年にアメリカのファッション市場への進出を目的としたブランド「INDEN NEW YORK」を発表し、2016年にはブランド名を「INDEN EST.1582」へ改めイギリス・フランスを中心とした欧州のファッション市場への挑戦を続けています。

2018年9月15日~17日にニューヨークで開催された「コーテリー展(COTERIE)」へ出展し「INDEN EST. 1582 F/Wコレクション2018」を発表、バイヤーから高い評価を獲得しています。
コーテリー展はアパレル・ファッション市場への登竜門となるアメリカ最大規模の展示会で、春と秋の年2回開催されます。アメリカ市場を狙う1,000社を超える企業が出展し、世界中から目利きのバイヤーが訪れるため競争が激しい事でも知られています。印傳屋は2012年秋の初出展以来、コ―テリー展でコレクションを発表し続け、今回で13回目の発表となりました。これまでの海外コレクション開発の歴史を振り返るとともに、高評価を獲得した「INDEN EST. 1582 F/Wコレクション2018」誕生までのエピソードを開発責任者の専務上原伊三男が前・後編の2回に渡り紹介いたします。

「INDEN EST. 1582 F/Wコレクション2018」リングハンドルバッグ

上原勇七の悲願でもあった海外進出

印傳屋の上原勇七(現・会長)は「印伝を日本だけでなく世界で認められるブランドにしていきたい」というビジョンを常に持っていました。
会長のビジョンに共感した社長の上原重樹と私は、印伝の特徴である「鹿革に漆」という素材の持ち味や、日本の伝統的工芸品ならではの歴史観とイメージをいかに海外の市場へ伝えていくかを模索し続けてきました。

世界でも有数のファッションの中心地で、異文化のカルチャーを積極的に取り入れているニューヨーク・ファッションの情報を集める中で、海外のマーケティングやディレクションに長けたパートナー、ミラ デザイン社(Mira Design)と出会い、印伝の海外進出へむけたプロジェクトのスタートが切られました。互いに日本とニューヨークを行き来しながらディスカッションを重ね、伝統的な印伝の型にとらわれないアメリカのトレンドやファッションを取り入れたブランド「INDEN NEW YORK」が2011年に誕生したのです。これまでにない洗練されたデザイン性を持ち合せた商品への手応えから、すぐに「コ―テリー展」への挑戦を決意しました。

COTERIE 2018 「INDEN EST. 1582」出展ブース 2018.9.15 ※現在、日本国内では販売していない色・柄の商品がございます。

期待と裏腹に、バイヤーからの厳しい評価

コーテリー展でブースを構えるためには、主催者による厳格な出展基準を満たさなければなりません。展示会の信用性を保つために、商品はもちろん、企業規模やこれまでの取り組みなどもチェックされ、初出展がかなうまでに約2年を要しました。

しかし、やっとの思いで出展をはたしても、2015年までの3年間はバイヤーからの反応はとても厳しいものでした。欧米の“JAPAN”ブランドへの高品質なイメージから、ブースに訪れて興味を持ってくれるバイヤーは増えてきても、注文としては小物がわずかというような状況が続きました。また、コーテリー展では実績のある企業から優先的にバイヤーの目を引きやすいブース位置を選ぶことができます。新規参入の企業は1,000社以上の挑戦者がひしめく広い会場の隅の隅でブースを構える事になります。2012年の初出展の際は「はたして3日間で何人の人が見に来てくれるのだろう」という印象を持ったことを今でも覚えています。

海外にはない漆の光沢と質感にバイヤーの関心が集まります。出展を重ねるたびにその評価を高めています。

コーテリー展の関係者の話では、期待した成果が得られず2、3年で出展を諦める企業が多いそうです。私たちは、そこでいかに耐えて、より良いプロダクトづくりを永続するかを念頭に、ブースに訪れるバイヤーの声やニューヨーク・マーケットのトレンドにアンテナを張り続けました。また、出展のたびに得られた情報を反映した新しいコレクションをバイヤーに提案できるよう努めてきました。こうした努力や工夫は初出展から4年を経た2016年頃からは、コ―テリーの主催者側にも認められ、ブースを構える位置も着実にランクアップしています。その成果の一つとして、今でも主要な顧客の一つである、ニューヨークの美術館、ノイエギャラリー(NEUE GALERIE)からも定期的な注文が入るようになりました。確かな審美眼を持つバイヤーに認められるまで時間はかかりましたが、苦しい状況だからこそ学べたことがあると考えています。

20世紀初頭のドイツのバウハウスや、オーストリアの美術品を主に収蔵しているノイエギャラリー。そのミュージアムショップでは、世界各国のデザインプロダクトが販売されていますが、日本製の商品は印傳屋だけが取り扱われています。

後編では、「INDEN EST. 1582 F/Wコレクション2018」のアイテムとその展望に迫ります。※後編の掲載は来週を予定しています。

COTERIE 2018F/Wの会場で放映されたプロモーションムービー

*記事内で紹介した写真に掲載されている商品は、現在国内で販売されていない商品・色柄も含まれております。日本国内で販売されている「INDEN EST. 1582 F/Wコレクション2018」は、印傳屋直営店および印傳屋公式オンラインショップにてご確認いただけます。