印傳屋 / INDEN-YA

第78回「正倉院展」協賛のお知らせ~歴史をつなぐ印傳屋の想い~

このたび、株式会社印傳屋上原勇七は、奈良国立博物館にて開催される第78回「正倉院展」に協賛いたします。古より脈々と守り伝えられてきた日本の工芸文化を後世へと伝える本展の意義に深く賛同し、本年も協力させていただく運びとなりました。

正倉院宝物と日本の皮革・漆文化

東大寺・正倉院に納められた宝物には、遙かシルクロードを経て舶載はくさいされた品々だけでなく、古代日本の美術工芸の粋を結集して創りあげられたものが数多く存在します。その中の革箱、履はきもの、大刀、武具、馬具、弦楽器などには、鹿革をはじめとする皮革ひかくが素材として使用されていました。また「漆皮箱しっぴばこ」など、奈良時代には革に漆を塗った品がつくられており、現在の甲州印伝に息づく、装飾法や加工技術は、まさにこれら正倉院宝物にその源流を見ることができます。日本の歴史において鹿革の活用は極めて古く、我が国の皮革文化の礎として、現在の甲州印伝へも脈々と繋がっています。
印傳屋は1582年(天正10年)の創業以来、四百年以上にわたり鹿革を用いた独自の技法を受け継いできました。日本の革工芸文化を伝える担い手として、正倉院展への協賛を通じて、先人たちが遺した技術、そして心を未来へ繋ぐ一助となれればと考えております。

出典:『正倉院御物見取圖』国立国会図書館デジタルコレクション


ご挨拶 代表取締役社長 十四代 上原勇七

第78回「正倉院展」協賛に寄せて ~いにしえの手仕事にものづくりの原点を学ぶ~

秋気しだいに深まる頃、平素より印傳屋をご愛顧賜り、厚く御礼申し上げます。
このたび印傳屋は、奈良国立博物館にて開催される第78回「正倉院展」に協賛いたします。
私どもの心斎橋店などを通じて関西のお客様とお話ししておりますと、この「正倉院展」がいかに深く愛され、地元の誇りとして大切にされているかを肌で感じます。
日本の歴史と文化を象徴する素晴らしい展覧会に携われますことを、大変嬉しく思っております。

私自身、一昨年、昨年と「正倉院展」へ足を運び、大切に守り伝えられてきた宝物をこの目で拝見してまいりました。そのたびに深く心打たれるのは、千三百年もの時を経てもなお息づく漆の艶やかな光沢や、装飾の美しさです。古の職人たちが自然の素材とひたむきに向き合い、手仕事の限りを尽くした姿勢や心は、現代に生きる私たちに「ものづくりの原点」を静かに語りかけてくれます。

江戸時代、遠祖上原勇七が創案したとされる鹿革に漆を塗る技法。
当時、「地割印傳」「松皮印傳」とよばれ“ひび割れ”を模様として愉しんだ。*「漆塗提莨入」印傳博物館蔵

遠祖・上原勇七より代々受け継いできた印伝の技法も、遡れば古代の革工芸へと繋がります。
正倉院には藁の煙で鹿革を染め上げる「燻いぶし」の技法を用いたと思われる宝物が遺されており、その技と精神が時を超えて今、私たちの手の中にあることに、深い誇りと後世へ伝える責任を感じずにはいられません。
当時の職人たちも持っていた「自然素材を深く理解し、工夫を凝らす心」は、私たちがものづくりにおいて決して忘れてはならないものです。

私たちが「印傳博物館」を通じて古い工芸品を遺し伝えているのも、先人の知恵に学び、未来を照らすインスピレーションを得る「温故知新」の精神があるからです。
しかし、いくら良い技術であっても、作り手の自己満足で終わってしまっては、お客様が必要としないものになってしまいます。
受け継いできた技を大切に活かしながらも、その時代時代に合ったものを提案してこそ残っていける――。これこそが、約四百年以上にわたり代々の当主(勇七)と職人たちが協力しながら歩んできた道の根底であり、これからの私たちのテーマでもあります。

「正倉院展」には革の宝物にかぎらず、様々な日本の素晴らしい技術と歴史の結晶が集まっています。
ぜひ会場へ足を運んでいただき、いにしえの美しい手仕事に触れ、皆様の感性や暮らしに響かせ、より人生を豊かにするひとときをお過ごしいただければと心より願っております。

株式会社印傳屋上原勇七
代表取締役社長/印傳博物館館長 十四代 上原勇七


第78回「正倉院展」

第78回「正倉院展」詳細につきましては、下記の特設ページおよび公式サイトよりご覧いただけます。

・第78回「正倉院展」公式サイト
https://shosoin-ten.jp/

・印傳屋の正倉院展に関する取り組みについて
https://www.inden-ya.co.jp/special/shosoin-ten/